La Vie 行政書士事務所

コラム|フレックスタイム制とは?導入手続きと基本ルールを解説

はじめに

前回のコラムでは、変形労働時間制には4つのタイプがあることをご紹介しました。

その一つがフレックスタイム制です。

今回は、フレックスタイム制を導入するための手続きと、制度の基本的な考え方について解説します。

なお、本コラムで解説する内容は、労働基準法第32条に定める法定労働時間や変形労働時間制に関するものです。

時間外労働(36協定)や割増賃金(労基法37条)の考え方とは別の制度ですので、切り分けて理解することが大切です。

(参考)労働基準法 第4章の構成
  • 第32条 労働時間(法定労働時間・変形労働時間制等)
  • 第33条 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等
  • 第34条 休憩
  • 第35条 休日
  • 第36条 時間外・休日労働(いわゆる36協定)
  • 第37条 時間外・休日・深夜の割増賃金
  • 第38条 時間計算
  • 第39条 年次有給休暇
  • 第40条 労働時間及び休憩の特例

1 フレックスタイム制導入の手続き

フレックスタイム制は、変形労働制の4タイプのうちの一つで、導入するためには、手続きを踏む必要がありす。

2段階の手続きが必要とされています。(労働基準法第32条の3)

就業規則その他これに準ずるものに、
始業時刻及び終業時刻の両方を、対象となる労働者の決定に委ねることを定めます。

ここで重要なのは、始業・終業時刻の両方を労働者が決定であることです。

会社と労働者代表(又は労働組合)が労使協定を締結します。
労使協定では、次の事項を定めます。

【必須事項】
① 対象となる労働者の範囲
② 清算期間
③ 清算期間における総労働時間
④ 標準となる1日の労働時間

【任意事項】
⑤ コアタイム
(必ず勤務しなければならない時間帯)
⑥ フレキシブルタイム
(自由に出退勤できる時間帯)

時間帯の幅は決めておかないと、深夜時間に該当する時間に出勤されても困りますし、コアタイムがないと、会議の時間の設定がしなく等の支障がでます。任意の事項であっても、管理のうえでは、設定したほうがよいでしょう。

2 清算期間の考え方

フレックスタイム制では、労働時間を一定期間で調整するため、「清算期間」という考え方があります。
清算期間は、下記の①②のいずれかで設定します。
 ① 1か月以内
 ② 1か月を超え3か月以内 ※法律上、3か月が最長です。

①清算期間が1か月以内 ※比較的導入しやすいタイプです。

・労使協定に有効期間を定める必要がない
・労働基準監督署への届出は不要
・清算期間を平均して、1週間当たり40時間以内で運用する

②清算期間が1か月超3か月以内

・労使協定の有効期間を定める必要がある
・労働基準監督署への届出が必要
各区分期間(1か月ごと)を平均した1週間当たりの労働時間は50時間以内
清算期間全体の平均は1週間当たり40時間以内

3 労働時間の過不足は翌月へ繰り越せるのか

貸し時間(多く働いた時間を労働者が雇用主に貸しているイメージ)

例えば、今月多く働いたから、「来月(次の清算期間)はその分少なく働けばよい」として、
翌月へ多く働いた労働時間を繰り越すことは認められていません。

これは、その清算期間中に働いた労働の対価を、その賃金支払日に全額支払わないこととなるため、
賃金全額払の原則(労基法24条)に反するためです。

認められてしまうと、雇用主が繰り越しをすれば、労働の対価を支払わなくてよいと、制度を悪用される可能性がでてきてしまい、労働者にとって不利益となり得ます。

借り時間(貸し時間と反対の考え方)

今月の労働時間が不足した場合は、不足時間分を差し引かずに、契約上の賃金はそのまま支払ったうえで、不足した労働時間を次の清算期間へ繰り越すことが認められています。

これは、法定労働時間の総枠の範囲内であれば、労働者に不利益とならないためです。

ただし、清算期間全体の法定労働時間の範囲内であり、また、3か月清算の場合には各区分期間の平均労働時間が50時間以内となる必要があります。

例えば、

2時間労働時間が不足していた場合でも、その月は2時間分の賃金を控除せず支払い、次の清算期間でその2時間分を勤務して調整することができます。

おわりに

今回は、フレックスタイム制の導入手続きと基本的な考え方について解説しました。

実際の運用では、このほかにも、押さえておくべきポイントがあります。

  • 中途採用者・中途退職者への適用
  • 使用者による労働時間の適切な把握義務
  • 時間外労働や割増賃金との関係

フレックスタイム制は、「自由な働き方」を実現できる制度である一方で、適切な制度設計と労務管理が求められます。

雇用主と労働者の双方が制度を正しく理解し、適切に運用することで、働きやすい職場環境を整えることにつながるのではないでしょうか。

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