La Vie 行政書士事務所

コラム|変形労働制とは?雇用主が気を付けるポイントとは?

はじめに

技能実習制度における監理団体の監査業務では、「所定労働時間」「変形労働時間制」「36協定」といった用語が頻繁に出てきます。
筆者も監査業務に携わるまでは、これらの言葉を聞いたことはあっても、「それぞれがどのような関係にあるのか」「どのような場合に必要なのか」を十分に理解できていませんでした。
研修で概要を学んでも、法体系全体を理解できていなかったため、監査で、残業している⇒変形労働制を採択している⇒36協定必要というような思考で当時は対応していました。

本コラムでは、「変形労働時間制とは何か」を中心に、その目的や仕組みをできるだけ分かりやすく解説します。

1.「変形労働制」とはなにか?

法定労働時間と所定労働時間については、別のコラムですでに解説しました。
労働基準法第32条では、原則として法定労働時間は

  • 1日8時間
  • 1週間40時間

と定められています。

つまり、原則として雇用主は、この範囲を超えて労働者を働かせることはできません。

しかし、実際の事業では、繁忙期と閑散期があり、一年を通じて仕事量が一定とは限りません。

例えば、

  • 飲食店では年末年始やゴールデンウィーク
  • 宿泊業では観光シーズン
  • 農業では収穫期

など、忙しい時期と比較的余裕のある時期があります。

そこで、一定期間を平均して法定労働時間を超えないことを条件に、忙しい日は長く、暇な日は短く働くことを認める制度が**「変形労働時間制」**です。

2.変形労働制:4タイプ

「変形労働制」には、4タイプある。

① 1ヶ月単位の変形労働時間制
  例
   ⇒月初が忙しくそのほかは忙しくないので、月内で調整したい場合など

② フレックスタイム制

③ 1年単位の変形労働時間制
 例
  ⇒飲食業・宿泊業・農業など 季節労働など、年間で忙しい時期が決まっている事業等で使われる。

④ 1週間単位の非定型的変形労働時間制

3.変形労働制を採用するには?(導入要件とは?)

① 1ヶ月単位の変形労働時間制 から検討すると、
「ⅰ. 労使協定またはⅱ. 就業規則、またはⅲ.これらに準ずるものにより」、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用することができるとされている。

ⅰ. 労使協定(労働者数は不問)⇒ 届出 ⇒周知義務

ⅱ. 就業規則(常時10名以上の労働者がいる)⇒ 届出 ⇒周知義務

ⅲ.これらに準ずるもの(常時10人未満の労働者がいる) ⇒周知義務
 ※届出 は不要。

 届出をする場合の届出先は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)。

【ⅰ. 労使協定、ⅱ. 就業規則に記載すべき事項】

①変形労働時間制を採用している期間(起算日の記載は必須)

②変形期間を平均して、1週間あたりの労働時間が1週間の法定労働時間を超えない定め
 計算式:1週間の法定労働時間かける変形期間の暦日数÷7日

③変形期間における各日、各週の具体的な労働時間の定め

④労使協定によって導入する場合は、その有効期間

おわりに

ここまで、法定労働時間の範囲内で変形労働時間制を採用する場合の概要と、導入に必要な手続について解説しました。

変形労働時間制は、繁忙期と閑散期に応じて労働時間を柔軟に配分できる制度ですが、導入するためには労使協定や就業規則など、法律で定められた手続を適切に行う必要があります。

一方、法定労働時間を超えて時間外労働をさせる場合には、変形労働時間制とは別に「36協定」が問題となります。

次回は、時間外労働を適法に行うために必要な36協定(時間外・休日労働に関する協定)について、基本的な仕組みや締結・届出の流れを解説したいと思います。

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